ママママ③『AUGUST』 1

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今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、井上向日葵さんはどんな感じでしょうか。
井上 
よろしくお願いします。最近は7月のママママの稽古と、12月の卒業制作公演の稽古で忙しいです。
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ママママは7月の公演、「AUGUST」ですね。稽古は今、どんな感じでしょうか。
井上 
今は結構、エチュードを中心に進んでいっています。すごく頭を使う毎日です。もちろん使いすぎても良くないので、そこが難しいですね。合田さんと渡邊さんとは今回はじめましてなのですが、色んなお話をして打ち解けることができたので、安心して稽古に臨めています。お二人に世代の話をされるとついていけなくなったりするんですけど、そのギャップが今回の面白いところの一つだと思います。
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この座組は本当に面白いですね。渡邊さんも久しぶりに役者ですからね。異色中の異色キャストだと思います。コント公演ということで、今回の作品のメインはやっぱり笑いなんでしょうか。
井上 
それも難しいところで、コントってそもそも何だろう、と。
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というと。
井上 
この間のエチュードをしていて、全員がすごく爆笑したシーンがあったんですね。その瞬間にはたしかにコント感があったんですけど、木之瀬さんが考えているのは、それとはちょっと違うのかなあとか。
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木之瀬さんの演出されるコント作品。確かに、笑いそのものが着地点ではないんですよね。もちろん最終的にはコントなんだけど、そのコントで無ければ見えなかった意識や感覚が明らかにある。演劇演出は、情景を通して外界に現象させるものだ、ということがとても良く分かる例なんじゃないでしょうか。
井上 
そうですね。これからどんな作品に仕上がっていくのか、楽しみです。
1ママママ③『AUGUST』
忘れてたこと、思い出せるかな。

#ママママ的夏フェス
#上演は7月

[作]志村耕太朗
[演出]木之瀬雅貴
[出演]井上向日葵、合田団地(努力クラブ)、渡邉裕史

[日時]
2018年 7月
27日(金)19:30
28日(土)14:00/18:00
29日(日)14:00
30日(月)14:00
※受付開始・開場開演の30分前。
※車椅子でのご来場は、事前にご連絡ください。
※上演時間は約80分を予定しています。

[会場]
KAIKA
京都市下京区岩戸山町440番地江村ビル2F
http://www.fringe-tp.net/kaika_access.html

[料金]
一般 2800円
25歳以下 1800円
高校生 500円
中学生以下 無料
(日時指定/全席自由)
※未就学児の入場はご遠慮ください。
※25歳以下、高校生以下のお客様は当日受付にて、学生証または年齢のわかる書類をご提示ください。
【チケット取り扱い】
カルテットオンライン
https://www.quartet-online.net/ticket/august2018
予約受付中!

《Get it! AUGUST》
6月上旬より京都市内中心に配布予定の本公演チラシ(B3ポスターサイズ)をGETすると…
なんと通常価格より300円OFF!!
配布情報はママママSNS/Webにて随時お知らせ致します!
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(例:一般2800円→2500円)

[スタッフ]
舞台監督:北方こだち
照明:吉津果美
音響:辻村実央
フライヤーデザイン:坂本俊太
イラストレーション:江田陽子
制作:金井美希
制作助手:大塚侑子
協力:努力クラブ、ソノノチ
共催:NPO法人 フリンジシアタープロジェクト
主催:ママママ

suppoted by KAIKA


[お問い合わせ]
mmmm.conte@gmail.com

触れてしまう

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最近演出について、ちょっと考えることがあって。例えば会話劇を舞台の上で上演した時に、観客の意識の中で起きている「その会話劇」の世界を浮き上がらせる具体的な手段を演出だ、と定義する事が出来るのかな、と思っていて。で、その手段は一切合切、自由なんですよね。それは素晴らしい事であり、ちょっと恐ろしい事でもある。お客さんの脳裏に描き出されるものをどうとでも出来るわけだから。ママママの前回公演「二の次」は、そういうところを意識していたんじゃないかなと思っています。意欲的な公演だったと思います。
井上 
今回、稽古中に木之瀬さんのお話を聞いていて、木之瀬さんは、今回の作品でつくり出したいものとか、そのものとお客さんの関係性まで、明確に考えているんだなあと感じています。夏ならではのこととか、夏と聞いて思い出すようなことは人によって違うと思うんですけど、自分がしまい込んでいる記憶みたいなものに自然と触れてしまうみたいな、そういう作品になるような気がしています。

存在と方向

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ママママの今の悩みどころを教えてください。
井上 
「二の次」の時もそうだったと思うんですけど、今回も今のところ、断片的なシーンがいくつかありまして。そのシーンによって役が変わっていくので、瞬時にどう演じ分けるか。断片のその前後は想像するしかないので、それが難しいですね
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高度に作られている作品の場合は、どんなに場面がハイペースで切り替わっていてもついていけると思うんですよ。細部に悩みながら作っているということは、その努力が積み上げとなるから、やっぱりいいものになると思うんですけどね。
井上 
そうですね。やっぱりそこは、最後まで手を抜かずにやりたいなと思います。共演者のお二人とは歳が一回り離れているので、積み重ねてきたものの違いを日々見せつけられています。演劇としても人生としても。そこの差についていくのが必死というか。合田さんは存在感がすごいし、どんな場面でも一瞬で空気を作り出すんです。渡邊さんには知識の多さとか頭の回転の速さに驚かされます。そんな中でどうやって自分らしさを出していくかということに悩んでいます。
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既に存在感は出してると思いますけどね。楽しみです。

勢いについて(1)

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木之瀬さんのやっていたマサチューセッツという団体が、非常に面白くて。コント公演だったんですけど、観客席が全員ずっと笑っていました。
井上 
実は、12月の卒制なんですが、コントをする予定なんですよ。こちらはもう、逆に笑いしか考えていないという。とにかくお客さんを笑わせて、元気になってもらいたいんです。
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おお、そうなんですね。
井上 
はい。でも稽古をしていて、笑いを一から生み出すことがいかに大変かを痛感しています。だからお客さんをずっと笑わせていたというのは、正直とてもかっこいいなと思います。
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見てて鳥肌が立ちましたね。短いコントだけをずっとやってるんですけど。勢いがすごかったんですね。勢いという、演出できない部分があって。
井上 
勢い。そうですよね。
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勢いとは何か。元気の良さ、だろうか。
井上 
勢いって、一人だけじゃ出せないものだと思います。座組み一同の信頼関係があって初めて生まれると言うか。
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その信頼が、どこに向いてるかというのも大事なのかもしれませんね。その企画がどれだけ価値があるのかとか。

質問 中野 守から 井上 向日葵さんへ

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前回インタビューさせていただいた、中野劇団の中野守さんから質問を頂いてきております。「ご家族に演劇活動を認めてもらうためのコツはありますか?」
井上 
うちの家族は結構応援してくれていて、だから答えになるかわかりませんが。私自身、演劇を始めたのが大学からなんです。それまではずっと吹奏楽をやっていたんですけど、いろいろあって高校3年生の時に突然、役者になりたいと両親に伝えました。普通に進学するつもりでいたので、なぜ突然役者なのかって両親も驚いたと思うんですけど。今では公演をほとんど観に来てくれていますし、この間出演した東京の公演も京都から観にきてくれました。コツというか、やっぱり、自分なりに本気で演劇をやったというのが一番なのかな。大学から演技を始めるのは正直遅いと思っていたから、とにかくやれることは全部やろうと決めていました。ダンス公演にも挑戦したり、ことあるごとに演劇を観に行ったり。だんだん学外の公演などにも出演する機会が増えて来て、自然と、役者への本気度が家族にも伝わっているのかなと思います。

東京に!

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江古田のガールズ「極楽」。東京公演でしたね。フットワーク軽いですね。どういう経緯だったんですか?
井上 
友達きっかけで江古田のガールズを知って、そしたらオーディションを開催するという情報が入って。今年中に一度は東京で舞台に立ちたいと思っていたこともあって、12月の公演を観に行ってみたんです。衝撃を受けました。とにかく面白かったんですよ。絶対にオーディションを受けようと。これまでほとんど京都の演劇しか知らなかったから、私にとっては東京での第一歩だったんですが、それがこの作品で良かったなと思います。
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素晴らしい。
井上 
そこに集まった人が良くてですね。良い人すぎて甘えてしまった部分もたくさんあるんですけど、また、どの方とも共演したいなと思える経験でした。
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まだ拝見してないんですよ。
井上 
江古田のガールズは娯楽を目指していて、あんまり難しい内容とかではなく、頭を空っぽにして楽しめるんです。稽古とかをしてても、本当に馬鹿だなぁと思うような事を全力でやるんですよ。でもそれがかっこいいし、なにより観ていて元気になります。

一行の重さ

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京都造形大学に入られたのは?
井上 
役者をやろうと思った時に専門学校に行きたいと親に相談したんですが、家の近くにこういう大学もあるぞと。
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なぜ、演技をしたいと思ったんですか?
井上 
元々小学生の頃から、たまに学校の体育館で観る演劇が大好きで。それから中学高校と吹奏楽で舞台に立って、表現することで人を楽しませる事の魅力に気づいてしまって。実際に自分が演技をしたいと思ったのは、高校生の頃に観た映画やドラマがきっかけだったと思います。私は、面白い作品を見たら元気が出るんですよ。明日も頑張ろうと思える。一瞬でも辛いことを忘れたりできるじゃないですか。私もそうやって人に元気を与えられたら幸せだなと感じたんです。
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ピッタリの職業だと思いますよ。奥の深い職業だと思いますので、これからも頑張っていってほしいです。
井上 
ありがとうございます。まだまだ、自分の力不足を感じてばかりです。これからも自分を高め続けないとな、と思っています。
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どんな経験をしても、やっぱりどこかに登ってると思いますよ。怠けていたら何もならならないけど。
井上 
役者は、自分から動かないと何も成長できないというのは思いますね。何でもそうですけど。生活を怠けると、もろに演技の質が落ちちゃう時があって、ああダメだとよく自分に喝を入れ直しています。
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セリフを一行を与えられたとして、そのセリフを喋る理由が「与えられたから」というのはもちろん意味のある活動ではなくて。でも、違うセリフを喋るのもだめ。じゃあどうやって台詞をしゃべるのかと言うと、色々なやり方があるけど、悩んだり迷ったりした結果のセリフの調子が、軽かろうと重かろうと、なぜかお客さんには伝わるんですよね。
井上 
そうですね。
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その答えは明確に持ってるわけじゃないけど。
井上 
伝わるという事実はありますね。セリフ一行の重みと言いますか。文学座の鵜山仁先生のクラスで「この一行の台詞でお客さんから100円を貰えるように」と言われたのが印象的でした。一行単位で台本を読んだことがなかったので。どうしても物語を追うのに必死だったり、場面ごとの大まかな感情を読むのに必死だったりとか。その一行を、さらにはそのひと単語をどういう音で言うか、それだけで、そこまでに積み重ねたいろんなことがぐわっと変わるんだと知りました。気持ちだけでも、形や動きだけでもダメで、それらがバランスよくあることが必要でした。どうでもいいセリフというのはないんだなぁと。「どうでも良さそうに喋る」という演技は成立しても、どうでもいいセリフというものは実際にはない。忘れがちになりますけど。
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そうやって作ったセリフには、絶対的な価値が宿るということですね。
井上 
すごく悩んだんです。その芝居は私の役が登場するところから始まったんですけど、何回やってもうまくいかなかったんですよ、最初は。せかせかと用事をしながら、家政婦役の相手を引っ張って振り回すという演技が、私には引き出しがなくて出来なかったんです。役柄を何も掴めずに、そのシーンが全く面白くない時期が続いて落ち込んでいました。でもある時にハマるようになったんです。台詞の気持ちの割合だとか、動きのタイミングとかを微調整していった結果、徐々にはまるポイントに近づいていったんだと思います。最終的には、最初の時期よりもずっとエネルギーのあるシーンになったと思います。観に来てくれた両親や友達に、最初、私だと気づかなかったと言ってもらえたのがすごく嬉しかったなあ。それが自分にとってはほぼ初めての演劇公演だったんですけど、いきなり、岸田國士というすごく考え甲斐のある作品に出会えて良かったと思っています。

勢いについて(2)

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nidone.works 2での井上向日葵さんが素晴らしかったですね。「おにぎりパン!」 3の終演後に挨拶させて頂いたんでしたっけ。いや、nidone.worksこそが勢いがあると言えるでしょうね。
井上 
「チッハーとペンペン」を観た時から、実は凄く出たかったんです。あの可愛くてポップで、わくわくする世界観。その世界に入り込めて、子供も大人もみんな笑顔になれる作品なんて皆が理想とするけど、それをほんとに形にしてしまったというのが衝撃的で。皆に夢を与えるチッハーとペンペンがすごく羨ましく感じました。
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松田ちはるさんと諏訪七海さんですね。
井上 
「おにぎりパン!」にはチッハー役を演じた松田ちはるも出演していたので、一番不安だった、劇中の観客とのコミュニケーションの極意を伝授してもらいながら稽古したのを覚えています。終演後にはとにかくお客さんからの反響を凄く感じました。嬉しかったです。
2nidone.works
成長過程にいるこどもが おとなになることを、少しでもポジティブに捉えることができる作品づくりを目指しています。 メンバーは作/演出の渡辺たくみ、制作の加藤なつみを中心に、作品ごとにゆるやかなともだちを集めて活動中。舞台作品では、こども自らが表現することを後押しできるように、こどもたちが演者とコミュニーケションをとることでストーリーが進むよう構成しています。(公式サイトより)
3「おにぎりパン!」
公演時期:2017/10/13~15。会場:京都造形芸術大学 人間館1階 カフェ横 展示スペース(春秋座側)。

これから

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今後どんな感じで。
井上 
今まさにそれを悩んでるんですけど。今後も役者は続けていきたいです。舞台って、本当に人のつながりでしかないなあと思っています。京都の知り合いと東京の知り合いが知人同士だったという事があって、人と人とのつながりを身近に感じました。そういう繋がりを感じながら舞台を続けていきたいと思います。
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色んな人のやり方を参考にされながら、悩みながらいけばきっとうまくいくと思います。

眼鏡のストラップ

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今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。どうぞ。
井上 
ありがとうございます。(開ける)うわー。
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稽古の時など、便利に使っていただければ。
井上 
使います。ありがとうございます。
(インタビュー終了)