「誓いはスカーレット」 1

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今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。劇団どくんごの「誓いはスカーレット」ツアーに参加されている泰山さんにお話を伺います。最近、泰山さんはどんな感じでしょうか。
泰山 
よろしくお願いします。旅公演も残りあと10ステージになって。旅に慣れたら慣れたで、毎日同じ芝居をやってるような気がしないと言うか。
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なるほど。
泰山 
同じ作品を繰り返してるんですけど、同じことをしてるという気がしなくて。最初は80ステージもして飽きたりはしないのかな?とか思っていたのですが(笑)、まったくそんなことはなくて。やればやるほどに芝居のことが面白くなってきて、もっとこうしたほうがいいとかの壁にもぶつかりますし。体調も変わるし、季節も変わるので。日々、生きるということが芝居に直結しているなあと実感してます。総じて楽しいです。
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その境地にまで行ってるんですね。感覚が鋭敏になってるんですかね。
泰山 
そういう事ですかね、なんだか自分の身体も変わってきてるみたいで。最初にやっていた時は会得できていなかったことができるようになってきていて。舞台の立ち方も変わっていってる気がします。見えてくる世界が変わってきているのかなと思います。
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役者として次の段階に移っているんでしょうか。
泰山 
そうかもしれません。今の段階に登ったからこそ。元々芝居の人間じゃないので発声とか発語とか言葉の扱い方とか、まだまだだけど、70ステージもするうちに、うん、自分自身が変わってきたなという気はしていますね。
1劇団どくんご公演第32番「誓いはスカーレット」
残るは2会場!
熊本公演
11/9~11 白川橋左岸緑地
鹿児島公演
11/16~18 中央公園(テンパーク)。

【出演】五月うか 2B 石田みや 泰山咲美 クヌギタナオヒト
【構成・演出】どいの
【美術・衣装】五月うか
【美術協力】山さきあさ彦(山ぐるみ)
【グッズ協力】aipu ヨコイマウ
【制作】黄色い複素平面社 空葉景朗 暗悪健太 時折旬 まほ

遊ぶということ

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「誓いはスカーレット」。どんなツアーになってきていますか?
泰山 
私は2009年からお客さんとして観てきていたんですが、自分が憧れていたどくんごの世界が本当に自分もできているのか、大丈夫なのかというのがすごくあって。今でも客観的に見れないからどうなんだろうというのは残っています。でも見てくださっているお客さんには、今年には今年の良さがあると言って頂けているので。今年は今年なりにできているのかなと。
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今年は、屋外というロケーションを最大に生かした作品であり、かつ非常に集中力の高いステージだなと思ってます。役者も観客にもエネルギーが求められる。そして、寄り道を一切しない感じ。
泰山 
そうなんですね、今年は凄くそぎ落とした演出と構成で。難しくもあります。反面、「全部アドリブなんですか?」と聞かれた事もあります。
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全部アドリブかと思うぐらい、いつも新鮮。最近平田オリザさんのインタビューがヤングジャンプに載ってたんですけど、「良い役者とは」という質問に対して、それは赤ちゃんだ、と答えていて。「次の瞬間に何をするかわからない人」だと。
泰山 
へー。
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どくんごは、集中力と緊張感が強くて、却って次に何をするのかわからない。観客の予想が通用しない感じがあります。
泰山 
土地が変わって、受け入れの人も変わって。物理的に新鮮といえば新鮮なんですよね。同じことをしようとするとそぐわなくなってきてしまう。やっぱり何か、私たちはその土地土地で違う人たちの中に入って生きていくから、そういう時に新鮮さに出会う、というのを繰り返してる感じだと思います。でも、どこであれ生活と芝居いうルーチンを行うっていうのがなんだか面白いですね。
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当初は飽きるんじゃないかと思っていたんですね?それが、飽きるどころか、新鮮さを感じ始めていると。
泰山 
このツアーに参加して、一番、真髄を感じたことがあって。「ああ、これだからどくんごをやりたかったんだなあ」と思ったのは、即興のシーンの振り返りをしてる時に演出が、「命を遊ぶんだ」というような事を言ってて。そこで命を遊んでいけなかったら意味がないでしょ、と。命を最大限に輝かせないと私たちは舞台やる意味がない。ストーリーがないというのはそういうことなのかなと思って。
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生きることより、命をあそぶことを大事にしている。
泰山 
普段社会の中で生きていると色々なことをやり過ごしたり感情を抑えたりとかが必要で、でも命をあそぶということは、悲しさも喜びも、憎しみだって、生きているからこそのものだし、自分がもっているものは全力で出していきたいなーと思って。それを面白がることに意義があるなと思っています。

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今回のツアーで死ぬまで覚えておきたいことは何ですか?
泰山 
そうですね、私は劇場で踊ることも多いんですけど、一人のパフォーマンスを作るときは野外の作品が多くて。やっぱり自分には野外が合うなぁということがはっきりして。その延長線上で、人とどう出会ってどういうものがそこに立ち上がってくるのかに興味が向いています。メッセージ性よりも。今までに自分のやってきた活動と、今のどくんごを踏まえて、やっぱりそうだったんだ、と合致している部分が多くて。
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どう人と出会うか。
泰山 
だってそれが面白くて。自分一人で考えるよりも、作った作品を劇場で見せるのと、旅公演で人に出会って行くのとは全然違うんですよ。
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初読の力ですよね。今目の前にある積もった雪は、毎年降っている雪とは無関係なんですよ。私はその力をとにかく、関わっていたいし、認識していたいんですよ。どくんごを観るたびにそういう気分になります。
泰山 
このツアーが終わっても、どんな形であれ旅はしていきたいと思います。
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それは素敵ですね。
泰山 
めっちゃ、定住したいという気持ちもあるんですけど。こないだ松山市で手相の占い師に見てもらったんですよ。そうしたら「あなたは不動産とか土地とかにものすごく縁がある」と言われました。確かに私、部屋とか街に興味あるんですよ。土地に興味があります。商店街のある土地だったらなおさら好きです。

"ねえ"

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泰山さんの一人芝居のシーンが好きです。昔からの連れ合いを、昔から住んでいる町に連れ出す。
泰山 
色々な場所を巡って行くというタスクだけ与えてもらっていて。最後は海に到着するということだけが決まっているんです。内容は全部自分で作るんです。あれはリアルな世界と空想が断片的に混じっています。結構、地元の松山と、一時期住んでいた神戸の町が入り組んでいます。地元の人たちからすると「ああ、あそこか」って。時々言われたりします。
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どくんごはやっぱり、都市の芸術なんじゃないかなと思ったりします。
泰山 
作りとかはあえてチープにしている部分もあって。その素材感とかが私は好き。
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最初の受付とかも、本当にヤバイ人たちがやってる感じにしてるじゃないですか。そうかと思えばperfumeを歌って踊る。でも混沌という感じはしない。今回の公演は特にですが、整理されてるという印象があります。泰山さんは、舞台に立ってる時どんな瞬間が一番好きですか?
泰山 
私は、袖にいる瞬間が結構好きです。袖で転換作業をしているのも好きですね。幕を外したり何かを片付けてたり。それでも舞台の世界をちゃんと見聞きして参加してたりする時もあれば、意識的にスルーしたり。自分ではそこはすごく楽しんでいます。

質問 劇団しようよ2018年版「パフ」の客演陣さんから 泰山咲美さんへ

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前回インタビューをさせて頂いたかたから質問をいただいてきております。劇団しようよの客演陣ですね。万能グローブガラパゴスダイナモスの横山さんから質問です。「おすすめのラーメン屋さんを教えてください」。
泰山 
私、甘めのラーメンが好きなんですけど。めっちゃ地元ですけど、愛媛のちとせ食堂のちゃんぽんです。野菜たっぷりの。
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ありがとうございます。次は、東京デスロックの夏目さんからの質問です。「舞台の本番当日なのにセリフ覚えていない夢を見たらどうしますか?」
泰山 
その夢、時々見ますー。何の対処もできなくて、苦しくなって目を覚ましてます。あんぐりしてました。
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最後は、不思議少年の森岡光(ピッピ)さんからです。「小骨程度の挫折を教えてください。」
泰山 
挫折ばかりですけどね。でも、ただじゃ転ばない性格なんですよ。その時は終わったわと思いますけどしぶとくて。あの時思っていたことが、今自分がやってることにつながっていたりとか、そういうことも多いです。

粛々といく

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今後、どんな感じで攻めて行かれますか?ツアーももうじき終盤ですが。
泰山 
体調管理に気を付けていきたいです。風邪とかも引いていないので。最後までやりきるのが一番。頑張るぞじゃなくて、粛々と進めていきたいなというのがありますね。

一輪挿し

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今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
泰山 
あら。ありがとうございます。何だろう。(開ける)あ、素敵。石みたいな。ありがとうございます。
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もしよければツアー後もお使いください。
泰山 
ぜひ。嬉しい。花も好きだし。ありがとうございます。
(インタビュー終了)