Aブロック 劇団宴夢(酪農学園大学)
『熱血!パン食い競走部』脚本/演出 本澤貴史
__ 
今日は第3回全国学生演劇祭直前の緊急インタビューということで。よろしくお願いします。
吉岡 
ありがとうございます。よろしくお願いします。
__ 
再来週ですね。
吉岡 
はい、早いもので。私は3年ほど前からずっと学生演劇祭に関わっていて、まさかこれまで長くなるとは思っていなかったので。今回が集大成のような形になればと思っています。
__ 
集大成。
吉岡 
これまで京都(学生演劇祭)では2度、全国(学生演劇祭)では1度実行委員を務めましたが、そこで得たものやつながりが一番形になる回になるのではないかと思っています。
__ 
「つながりが形になる」。
吉岡 
今回のコンセプトが「全国学生演劇祭が織り成すつながり」という言葉なのですが、今まで学生演劇祭をきっかけに新しい作品ができたり、縁がつながったりするのを間近で見ていて、それをさらに拡大していければと思います。全国(学生演劇祭)がなかった時代には、それぞれの地域での演劇祭や学生演劇の公演が個々に行われていたものが、一つの場所にまとまるというか。昨年の全国学生演劇祭に出場した京都の団体が韓国・大邱で公演を行ったり、ワークショップをしていただいたり、立て続けに自主公演を行ったり。今後もつながりが形になって、拡大していけるのではと思います。

Aブロック フライハイトプロジェクト(早稲田大学、東京藝術大学ほか)
『今夜、あなたが眠れるように。』脚本 Nana Keira Ichikawa 演出 大舘実佐子
Aブロック 元気の極み(大阪府立大学×大阪大学×神戸大学)
『せかいのはじめ』 脚本/演出 中村奏太
__ 
吉岡さんが全国学生演劇祭に携わったのは2年前が初めてとのことですが、それはどのようなきっかけがあったのですか。
吉岡 
はじまりは京都学生演劇祭でした。2015年に実行委員になって、そこから第1回(全国学生演劇祭)のデザイン・web広報という形で募集がされていて。それに興味を持って、沢(大洋)さんに連絡して、ですね。
__ 
webのお仕事をされていたことがあったのですか?
吉岡 
いえ、全く経験はなくて。京都学生演劇祭2015では広報を担当していたので、引き続き広報をしたいと思ったのと、担当していた団体が全国に進むというので、関わり続けていたいと思ったところからですね。
__ 
なるほど。
吉岡 
当時京都からは劇団未踏座と劇団ACTが出場しましたね。
__ 
龍谷大学ですね。
吉岡 
はい。ACTは京都産業大学で。

Aブロック 楽一楽座(徳島大学)
『Say! Cheese!!』脚本/演出 中西一斗
第3回全国学生演劇祭 Aブロック
劇団宴夢(札幌・酪農学園大学)
フライハイトプロジェクト(東京・早稲田大学/東京藝術大学ほか)
元気の極み(大阪・大阪府立大学×大阪大学×神戸大学)
楽一楽座(四国・徳島大学)

2月22日(木) 16:30[Aブロック]
2月23日(金) 10:30[Bブロック] 14:30[Cブロック] 18:30[Aブロック]
2月24日(土) 10:30[Aブロック] 15:00[Bブロック] 19:00[Cブロック]
2月25日(日) 10:30[Cブロック] 14:30[Bブロック]
2月26日(月) 10:30[特別枠]
__ 
全国学生演劇祭。どういうところが見所でしょうか。
吉岡 
各ブロックや各地域でカラーが違うところでしょうか。すでに私は京都・東京・名古屋の学生演劇祭を全ブロック見ていますが、各地域でウケる演劇、そうでない演劇も違いましたね。面白いと思うかどうかの感性も違って、それが京都に集うことでどんな化学反応が起きるのか。一気に3、4団体見比べられる点は、全国学生演劇祭の魅力であり面白いところではないでしょうか。
__ 
昨年ロームシアター(京都)で、Bブロックしか拝見できなかったのですが、面白かったですね。
吉岡 
確かBブロックはとても濃くて、他のブロックと比較しても。優勝したシラカンと、劇団なかゆびのいたブロックですね。学生の頭の中というか、熱量が伝わってくるなと。
__ 
地域ごとでカラーは違うというところはあるかもしれませんね。
吉岡 
今年は去年と全く違う団体が多く出場するので、楽しみにしていただければと思います。

Bブロック ヲサガリ(京都工芸繊維大学)
『ヲサガリの卒業制作』脚本/演出 小川晶弘
__ 
今回、ご自身としてはどんな思いがありますか。
吉岡 
実行委員長を務めているのですが、実は2月のこの時期まで関わるとは思っていませんでした。去年4月の時点で大学3年生と、就職や将来のことを考える時期でもあったので、一旦京都(学生演劇祭)で区切りをつけようとか、もしくは学生演劇祭には一切関わらないと決めていたほどでしたが、そこから色々な偶然や出会いがあって声をかけていただいて。1年間ほぼ毎週ミーティングを開いて詰めてきた今回の開催なので、それが実になればいいなと思います。また実行委員長としての活動を通して、改めて「どうして今、学生演劇祭を選んだのだろうか」を考えるきっかけに、ご覧になる皆様には全国学生演劇祭の意義についても考える機会になってもらえれば嬉しいです。
__ 
というと。
吉岡 
それぞれの地域で活動する学生劇団を、一つの場所に集めて公演を行うことの意義ですね。私は高校から演劇を始めたのですが、高校では演劇の全国大会やコンクールがあるのに、大学ではそういったものがないなと。それだけが理由で全国(学生演劇祭)が始まったわけではありませんが、あえて大学生を対象に各地から学生劇団が集うものがあれば面白いのではないかというのが一つですね。あとは各地域に眠っている、これだけ面白いのに他の地域で演劇が好きな方、見たい方に触れられていない、届いていないのは勿体ないという思いが一番強いです。昨年であれば東京の団体が京都で作品を上演して、私たち京都の観客が衝撃を受けることができたのも、全国学生演劇祭があったからこそだと思います。

Bブロック 喜劇のヒロイン(日本大学)
『べっぴんさん、1億飛ばして』脚本/演出 新宮虎太朗
__ 
今、演劇そのものについて考えていることを教えてください。
吉岡 
演劇そのもの・・・。演劇って一括りにできないほどたくさんの種類があって、例えばよく見たり参加したりしている小劇場から、1000人規模での商業演劇まで。私は全部見るのが好きです。ただ、普段大学の友達と話していても未だに演劇というもののイメージがあまり浸透していなくて、やはり未だに宝塚やミュージカルなどのイメージが強いようで。そのままでも勿論いいですが、少しは変わらないものかと。視野が広がらないものかとは最近考えていますね。
__ 
色々な考え方がありますけどね。
吉岡 
私はどちらも見ますが、場所的にも金銭的にもふらっと行ける小劇場、学生演劇もその一つとして好きです。元々は見る専門でしたが、今は制作などの創作する側に回ることが多くなって。それでも未だにただのファンですね。その延長線上で演劇をやっていていいものか。でも好きだからこそ関わり続ける、没頭しているのだとも思います。
__ 
演劇に関わっていて、嫌なことはなんですか。
吉岡 
演劇以外のスケジュールとの兼ね合い、両立ができなかったことですね。大学では全く演劇に関わっていなくて、具体的に言うと学生劇団に入ったことは一度もありません。他の部活には入っていましたが。
__ 
何の部活ですか。
吉岡 
英語研究部です。その大会や行事と日程がかぶったときにどちらを優先すべきか、調整ができなかったときに、悔しくて嫌になることはあります。あとは、自分で見たいものを見に行く場合と、当日制作でお手伝いをさせていただく場合がありますが、どちらであっても自分の「面白い」にはまらなかったときは、複雑な気持ちになりますね。でも「実行委員辞めてやる」といったことは今までありません。

Bブロック 砂漠の黒ネコ企画 (九州大学ほか)
『ぼくら、また、屋根のない中庭で』脚本 Granous B.K Ponser 演出 木下智之
第3回全国学生演劇祭 Bブロック
ヲサガリ(京都・京都工芸繊維大学)
喜劇のヒロイン(東京・日本大学)
砂漠の黒ネコ企画(福岡・九州大学ほか)

2月22日(木) 16:30[Aブロック]
2月23日(金) 10:30[Bブロック] 14:30[Cブロック] 18:30[Aブロック]
2月24日(土) 10:30[Aブロック] 15:00[Bブロック] 19:00[Cブロック]
2月25日(日) 10:30[Cブロック] 14:30[Bブロック]
2月26日(月) 10:30[特別枠]
__ 
演劇の、どういうところが好きですか。
吉岡 
「ライブ感」ですね。目の前で物語が起こっている、演じられているところ。同じ空間で何人もがそれを同時に経験しているところでしょうか。抽象的ですが。同じライブ現象として音楽やダンスも挙げられますが、その場で言葉をどのように話すかは、場所や時間、空気など色々な要素が組み合わさって幾つもの楽しみ方があるのが、演劇の好きなところですね。
__ 
なるほど。演劇が嫌いな人は、そういうところが嫌いなのかもしれませんね。
吉岡 
反応が同じ、一方的でないからかもしれませんね。
__ 
小劇場が最たる例だけど、細分化した表現がネックになるのだと思います。細かい小指の動かし方一つでも俳優は作ってくるじゃないですか。かなり意識して細かく。テレビドラマの俳優もそれは同じだけど、瞬きをする・しないといった選択も、高度な集中力が要求されたりとか、あるいは受け取り方によって意味が変わったりであるとか、そういうコンテクストを踏まえないと味が出てこないという。それをライブでやるという無茶苦茶さ、あまり強くいけないというのが本音かもしれませんね。
吉岡 
ライブ感だからこそ「そのとき」しかないじゃないですか。一日何回公演、再演なども勿論ありますが、「そのとき」の上演は一回しかないので、もう一度体験したいという方にはやはり、すでに完成されていてリピートできるものの方が向いているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。あとは敷居の高さを未だに感じます。実際昨年の全国学生演劇祭は、映画のような感覚でご来場いただきたいと思って料金設定をしていました。今年は違いますが、どうしても「演劇か…。」という意識はあるような気がします。
__ 
昔からそうでしたね。
吉岡 
完全に拭われているわけではないかと。
__ 
今はどうだろう。演劇の敷居は変わってないというか、平均的に見れば高くなったように思います。私個人は、べつに演劇の敷居は低かろうが高かろうが、物凄く個人的には高くても別にいいと思う。演劇を見ずに批判する人は問題外ですが、見たうえで悪口や文句を言いたくなる気持ちはあるかもしれない。けれども、小指の動かし方一つや目線、お客さんは自分の視界の中に入っているはず。そして、分析することがその時はできなくても、やっぱり視界に入ったものは残り続け、影響を与えると思う。可能性は低いかもしれないけれども、白目で見ているような情報が伝わることは、信じるに値すると思います。だから我々のやっていることは決して無駄ではないはずです。
吉岡 
小指の動かし方一つ、という言葉がありましたが、地点の公演のアフタートークで聞いたことを思い出しました。個人的な解釈ではありますが、演劇は観客が見る視界を限定していないのがその良さで、ただ演出の意図としては視界を限定することが使命じゃないですか。このシーンのここを見てほしいと思って演出をつけるので。一方で、映画では演出をつけるこの手の動き、目の動きを見てほしいといった細かい指示がされた瞬間を、フレームの中に切り取ることができる。そこが演劇とほかとの大きな違いだと仰っていて。なるほどと思いましたね。演劇であれば、演出の意図にはない微かな動き、役者による偶然で勝手な動きが、作品全体を変えたり形作ったりすることがある。演出の意図に沿って見ることは勿論しますし、そう仕向けられているような気になりますが、そうではないところ、例えば「ここは演出がついているのか、そうでないのか」を疑問に思いながら、別の部分に注目するのも好きです。そのサイズ感が一番適しているのが小劇場なのかなと思いますね。それこそ1000人以上の劇場であれば舞台までの距離が遠くて見にくいですし、白目には入っていたとしても把握できない、自分の目や頭で消化できないかと。小劇場では全部を見渡すことができて、演劇を作っている側も、ここであれば見えるなという範囲を知ることができるのではないかと。
__ 
そういう作業をする上で必要になるのは何だろうかと思っていて。観客と出演者とか、作品を上演する演出家と出演者の、観客席と上演する側の間には提携関係が結ばれていますね。その出演者側に観客席が視線という透しをするんですけど。その与信をどう行われるように設計するというのか、信用を与えるようにするのかは、やっぱり演出家の手腕ですが。小劇場的な小指の動かし方の話になると、実は観客席の方に出演者側の、果たして彼らのパフォーマンスに対して与信すべきかどうか判断する能力が求められている。非常に高度なことが求められているので、それがつまり敷居の高さですかね。
吉岡 
ひとつ結論に達したような気がしますね。今私は演劇を見やすいと思っていますが、それはある程度の数を見ているから見やすいと感じるのか、小劇場で演劇を見たことがない、サイズが小さいなと思われるような方だと、逆に限定されることでどうすればいいか分からなくなるのかもしれませんね。
__ 
そこで得られる情報というよりは、小劇場の場合かどうかは分かりませんが、前衛演劇の場合は、世間一般の価値やある種の価値基準と相容れないわけじゃないですけど、独自の価値を持っているわけで。それを簡単に言葉やお金に還元できないというところが悩みの種ですよね。
吉岡 
価格の話にもつながってきますね。ある作品を見て、例えば2000円を払って、それ以上のものを見られたと思う感覚や、これは見に行って損をしたなと思う感覚など。ある意味その人それぞれの価値観にもよりますが、チケットというのは価値が可視化されている唯一のメディアなのかもしれませんね。無料のパフォーマンスをしているわけではないので。作・演出や技術スタッフだけでなく、制作や実行委員会、運営側がそれだけの時間をかけて形にしたものを、どれだけの価値で見るかという。

Cブロック 三桜OG 劇団ブルーマー(仙台 三桜高校演劇部 OG)
『スペース.オブ.スペース』 脚本/演出 熊谷美咲 原案者 平岩あかり
__ 
そのうえで観客側に与信権が与えられていることについて、制作者としてはどう思われますか?
吉岡 
私が制作者と名乗るにはまだまだ未熟ですが、意見を述べるとしたら、制作として観客に対して期待すべきことなのではと思います。ある程度の与信権を観客に与えることは至極当然のことではないでしょうか。ただ、作品自体とお客様自体の橋渡しになるというか、その位置に制作はあると個人的には考えていて。作品制作にも耳を傾けながら、でも作演出や俳優よりも一番お客様に近い距離にはある。私が語るのも差し出がましいですが、その間にいる者として、与信権は観客に与えられているべきではないでしょうか。もし与信権が与えられる方向が逆になったとしたら、極論を言えば観客は誰でもいいわけで。与信権が与えられているというのは、つまり演劇を見るにあたってお互いがお互いに期待しているものはあるはずです。その関係が成立しているからこそ各地で演劇公演が開催されていて、私も観に行くわけで。
__ 
観客の与信能力を高めるためにはどうすればいいんでしょうね。観客がその作品の価値について分析し、表現できるようになるには。
吉岡 
少し違うかもしれませんが、観劇リテラシーを高めるには、ということでしょうか。
__ 
実のところ、私は早さも正確さもどうでもよくて、ただしこの演劇の価値は自分で見つけるというその視座だけが必要だと私は思っています。
吉岡 
どうやって育てるか、高めればよいかはすごく難しいですね。与信能力の基礎となるものは個人によって違って、それに上乗せされるものなのか。一つは、色々なジャンルの演劇を見て広く見識を得ることで、なんとなくの与信が上がっていくのか。それとも一つのジャンルや作品を何度も繰り返し見ることで、そのからくりや仕組みが分かってくるのか。それは本当に人それぞれだと思いますね。
__ 
観客のタイプは6タイプくらいに分かれると思ってるんですけど、今は沼タイプが多い気がしますね。だいたいニュアンス的には伝わるかと思いますが、例えば、あるグループアイドルのファンになって三段階ぐらい進むと、そのアイドルグループたちの関係性に着目してクセになって、そのカップリングなどにドロドロとはまっていくのが沼。
吉岡 
それだと私が典型的な沼タイプですね。ある意味オタク気質というか、その性格のおかげで色々な演劇に触れているので。おそらくアイドルだけに関わらず、一旦深みにはまると終着点はすごく広い。垂直に深い穴が何個も彫られているのではなく、ある程度深くまでいくと一旦道が開けるような気がします。
__ 
それは飽きるということではなく?
吉岡 
だんだん広がる感覚でしょうか。コアな部分になることで、その穴の端が別の道につながる。大人数のグループを例にとると、その中の一人が別のグループの一員でもあった、また加入することでアリの巣の穴がさらに広がっていくような感覚になる人もいるはずです。
__ 
吉岡さんは何の沼ですか?
吉岡 
AKB48関連ですね。舞台にも出演されるようになって、私の中で演劇の沼にもつながって、結局全てズブズブ沼にはまっていくという。
__ 
私が沼というキーワードを出した瞬間、体が固まりましたね。
吉岡 
そうですかね。
__ 
まあ嘘ですけど。AAAってあるじゃないですか。あの沼は深そうだなと思いますね。男女混合グループってすごく珍しくて、深いのではないかと。
吉岡 
確かにそうですね。ジャニーズなどの男性アイドルグループ、女性アイドルグループ、混合グループでもユニットに派生するなど沼の種類は本当に多くて、それこそアイドルだけではなく漫画やアニメなどどんな文化にも沼は数えきれないほどあると思います。しかもほとんど底を知らない。
__ 
底はあるかと思いますね。第3段階目の関係性沼は確かに広い。でもどこかのタイミングで飽和するかと思います。私の経験だと、あるグループの人がそこを辞めた瞬間、その沼から出ましたね。
吉岡 
言われてみればそうかもしれません。大学2年のときにアメリカに留学していたのですが、日本を出る直前の1月に好きだったメンバーがグループを卒業して。イベントに足を運べなくなったというのもありますが、どうしてそのグループが好きだったのか分からなくなって、その時期を境に沼が深くなることはなかったように思います。
__ 
それって男性の?女性の?
吉岡 
女性です。
__ 
じゃあ違った。
吉岡 
その状態は確かに飽和に近くて、ここから先深くはならないというポイントを見つけた、ポイントになってしまったのかもしれません。そのポイントがある日、演劇において見つかるかもしれないと考えると少し怖いです。
__ 
いいと思いますけどね。小劇場の観客は基本沼にはまっている人たちで、そんな文脈で捉えられるとあまりよくないかもしれませんが。観客席で夢中になっている人の沼というのは、面白い概念だと思います。
吉岡 
劇場に行くと「いつもいらっしゃるな」という方が見えるのと同時に、私自身もいつもいるなというのも気づきます。
__ 
それは「おまいつ」という概念ですね。
吉岡 
そうですね。
__ 
沼。細かい小指の動きに気づく沼があるということなんだと思います。沼の作用として、大劇場では細かい動きに気づかないと吉岡さんは仰っていましたが、大劇場の一番後ろの客席でも小指の動きは捕捉できると思っています。人間の視覚はそれぐらいのものがある。沼というのは、結果的には集中力だけど、やっぱり自分自身がその終着の渦の中にいるということに気づけないくらい深く集中しているという悲しい状況だと思っていて。その暗い渦の中にいればいるほど、その奥の光がどれだけ遠くても補足はできると思う、小指の動きくらいなら。だから観客席の人口を増やすことよりも、その作品にしかない沼をアピールすることができればいいなと思っているだけです。
吉岡 
客層というよりは、その作品独自の色、その沼にはまる人を待つということでしょうか。
__ 
そうですね。そして宣伝すれば人は来る。宣伝はすればするほど多くのお客さんを呼べる。未来のお客さんの目に触れていくので、来てくれなくてもするべきだと思います。
吉岡 
することに意義があるというか、潜在的な観客を増やすことですね。全国学生演劇祭であっても、宣伝を見た時点では気に留めなかったけれど、そういえばこんな催しがあったと思い出す。その瞬間のために広報があるのかもしれません。
__ 
その広報は無駄遣いではなく、むしろ美しい行いだと考えるべきと私は思っています。お客さんが来なくても、広報という行動、その業は美しいものです。

Cブロック LPOCH(京都教育大学)
『溺れる』脚本 蒼色メチル基 演出 ジョルジュ・ポンピドゥ
Cブロック はねるつみき(岐阜大学ほか)
『昨日を0とした場合の明後日』脚本/演出 常住奈緒
__ 
学生演劇祭、いよいよ再来週ですね。
吉岡 
はい。今日も劇場に行って打ち合わせをしてきました。
__ 
各地から色々な団体が集まりますね。私行けないかもしれなくて。
吉岡 
22日から26日ですね。日本の団体の上演は25日までです。
__ 
出社するかもしれないので確実に全日程は無理ですが、でも1日ちょっとなら行けるかもしれません。申し訳ないです。
吉岡 
いえいえ。ちなみに今日(2月10日)が3ブロック見られるスペシャルパスの受付締め切り日でしたが、10団体見比べようと全国学生演劇祭に来てくださる方がいらっしゃるというのは、とてもやりがいにつながりますね。
__ 
お客さんに何か一言。
吉岡 
ただただ楽しんでいただきたいです。そのために私はいると思います。
__ 
頑張ってください。
吉岡 
ありがとうございます。
第3回全国学生演劇祭 Cブロック
三桜OG劇団ブルーマー(とうほく・仙台三桜高校演劇部OG)
LPOCH(京都・京都教育大学)
はねるつみき(名古屋・岐阜大学ほか)

2月22日(木) 16:30[Aブロック]
2月23日(金) 10:30[Bブロック] 14:30[Cブロック] 18:30[Aブロック]
2月24日(土) 10:30[Aブロック] 15:00[Bブロック] 19:00[Cブロック]
2月25日(日) 10:30[Cブロック] 14:30[Bブロック]
2月26日(月) 10:30[特別枠]
(インタビュー終了)