大熊 隆太郎

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分かりやすい面白さと芸術的な面白さの中間

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い致します。大熊さんは最近、どんな感じでしょうか。
大熊 
焦っていますね。来年でアラサーなんで、生活的な事が気になる年齢になってしまいました。周りの演劇人たちは一体どうやって生活してるんだろうと。
__ 
頑張って下さいとしか言いようが無いんですが、もっと多くの人々が大熊さんに注目したらいいですよね。
大熊 
ありがとうございます。ここ最近、演劇の感想が以前と違うんですよね。昔は何を見ても面白かったんですが、今は自分の作品に結びつけて、純粋に楽しめなくなっているんです。面白いと思っても心の奥底では・・・。
__ 
一人の人でも、色んな感想を持つものですからね。
大熊 
そうですね。Web上に面白くないという感想を書く人もいる。反面、つまらないと思った作品の面白い点をキャッチ出来ている自分もいる訳で。そういう芝居を見た後に自分のとこを省みると、ウチはエンタメだからなあ、楽しませられなかったら終わりやからなあ、楽しめなかったらごめんなさいだなあって思うんです。今年の2月はとくにはっちゃけた作品を作ったり、そうかと思えばコンテンポラリーのパフォーマンス作品もやるし、ウチもやっぱり色々方向性が違う作品を作ってるんですよね。
__ 
「突撃!八百八町!!」 2は完全にエンタメ系でしたね。
大熊 
そうですね、とにかく、カッコよかったり面白かったりを感じてもらえなかったら終わりやなあと思って作ってます。中間を狙いたいんですよ、こんな言い方をすると怒る人がいるかもしれないんですけど。
__ 
大丈夫だと思います。
大熊 
エンタメ系とアート系の中間、分かりやすい面白さと芸術的な面白さの中間で、いい感じでバランスを取れているような、受け口の広い作品。そういう意味での大衆性がある作品を目指しています。
1壱劇屋
2005年、磯島高校の演劇部全国出場メンバーで結成。2008年より大阪と京都の狭間、枚方を拠点に本格的な活動を開始。主な稽古場は淀川河川敷公園で、気候や時間帯をとわず練習する。マイムパフォーマンスを芝居に混ぜ込み、個性的な役者陣による笑いを誘う演技にド派手な照明と大音量の音響と合わせ、独自のパフォーマンス型の演劇を行う。イベントではパントマイムやコントをしたり、FMラジオにてラジオドラマ番組を製作するなど、幅広く活動している。(公式サイトより)
2劇団壱劇屋第19回公演「突撃!八百八町!!〜人斬りピエロ軍団vsタケミツナリタ〜」
公演時期:2013/2/23〜24。会場:中津芸術文化村ピエロハーバー。

枚方市にて

__ 
大熊さん率いる壱劇屋は由緒ある磯島高校演劇部のOBを中心に旗揚げされたんですよね。
大熊 
そうですね、いまはもう磯島高校は統廃合でなくなってしまったんですけど。僕らの代の演劇部が全国大会の切符を手にして、でも大会の規約で後輩に切符と台本を引き継いで卒業して。可哀想ですよね。
__ 
あとはお任せ的な。
大熊 
僕らの代は結構、パワーあったんですよ。その時からのメンバーは3人です。さらに、その時代に高校演劇をやっていた人達が中心メンバーですね。前回公演のチラシを作ってくれたのもその時の繋がりだし。
__ 
とても羨ましいですね。私も高校演劇だったので、その当たりの感覚が好きです。

「突撃!八百八町!!」の思い出

__ 
「突撃!八百八町!!」でとても楽しかったシーンがあります。3章仕立ての最後くらいで全員が「バンブー!!」って主人公の掛け声が感染るシーン。竹村さん演じるタケミツナリタは巻き込まれ型の主人公ですが、話が進むにつれてだんだんと異能力者という事が判明し、逆に周囲を巻き込んでいくという壮大な逆転を体現したシーンと言えるでしょうね。
大熊 
ありがとうございます。とは言え、僕はあれ何にも言ってないんですけどね。気がついたら勝手にあいつらが「せーの、バンブー!」ってやってて。あ楽しそうやな・・・と。
__ 
そうなんですね。いい作品でした。
大熊 
ちょっと怖かったんですよね、最近の作風とかけ離れていたので、ウチを好きでいてくれるお客さんに受け容れられるかどうか。不思議な感覚を大事にした演劇をずっとやっていたし、くだけた感覚のは久しぶりでしたし。娯楽に徹したB級を全力でやらせてもらいましたが、結構楽しんでもらえたみたいでした。
__ 
あれだけふざけられるとは思ってなかったです。とても面白かったです!どうやって作ったのか気になるぐらい。
大熊 
僕が一応、作演出なんですけど、結構みんなで話すんですよ。お話も皆で書いたりしてるんです。稽古の進め方についても全員主導で、僕が最終決定するんですけど、竹村が中心にストーリーも考えてますね。「今回こんな感じのがしたいんだけどどうしたらいいかな」から始まって。僕は最初「主人公の名前はバンブー万太郎にしたい」と提言したんですが、それは嫌やと言われて「タケミツナリタ」にしたり、実は公演タイトルも・・・。
__ 
つまり、壱劇屋の作品はメンバー全員が作って同意したアイデアと意見で出来ている。
大熊 
まあ、大きいですね。
__ 
息が合っていると感じるのは、全員から出てきたものを面白くしようと動いているからかなと、ふと思いました。手作り風味と言えるのでしょうか。
大熊 
そういう事かもしれませんね。

劇団壱劇屋 第20回公演『SQUARE AREA』 3

__ 
次回公演「SQUARE AREA」。企画の経緯は。
大熊 
應典院演劇祭に「回想電車999」 4で参加して優秀劇団賞を頂きまして。その共同プロデュース枠に選んで頂けまして。円形の劇場で何をしたら良いのかを考えたんですけど、囲み舞台をしてみたいなと思っていたのもあって。縁ですので、ここでやとうと。
__ 
四角形のイメージがある作品ですが、それはどこから。
大熊 
「円」はあまりやりたいとは思えなくて。何でだろう?
__ 
円というか球はどこから見ても表情が一つに決まるけど、四角というか立方体は表情が変わるから、そのあたりの違いがあるのかな、とふと思いました。
大熊 
あと、部屋の中の話なので、四角ですね。
__ 
どんなお話になりますか?
大熊 
難しいですね、これを言うとネタバレになってしまうので。囲まれている人々が漏れたりとか。でも、単なる謎解きモノにしてしまうのは何だかもったいないのかな、それは囲みでやる意味が半減するんだろうと。囲まれているという事が、上手いこと話に組み込めないかなあと。
__ 
楽しみです。
大熊 
ここからどんどん、作り込んでいこうと思います。
3劇団壱劇屋 第20回公演『SQUARE AREA』
公演時期:2013/6/12〜16。会場:シアトリカル應典院。
4劇団 壱劇屋 第17回公演『回想電車999』
公演時期:2012/8/7〜8。会場:シアトリカル應典院。

枚方の河川敷で野外稽古

__ 
聞いたところによると、壱劇屋は枚方の河川敷で野外稽古をされるそうですが、場合によっては徹夜になることがあるそうですね。
大熊 
あれは、やりたくないですね(笑う)。お恥ずかしい話、作品が間に合わなくなるとどうしても。しかも台本が出来たところで終わりではないので、やってる事も複雑なんですよ。稽古時間は多いんですけど、完成するには間に合わないですよね。それは僕らの完全にだめなところですね。
__ 
それは納得するまで作っているからでしょうね。
大熊 
そう言ってもらえると。また、小道具の製作とかもあって、それがあるともうみんな駄目ですね。「今回は夜を明かすんじゃないか」という不安が広がりますね。でも、最後に徹夜したのは回想電車999が最後です。
__ 
大変ですね。
大熊 
回想電車は最後に電車でパフォーマンスするシーンがあるんですが、3分作るのに4時間掛かるんです。これはまずい、突貫工事で面白くしなければならないと。
__ 
ところで、夜の公園で芝居の稽古をするのってロマンがありますよね。
大熊 
そうですね、陰影があってキレイに見えますよね。維新派みたいな。
__ 
枚方市の河川敷はどうですか?
大熊 
あんまり良くないですね、暗いので(笑う)

師匠たち

__ 
大熊さんはマイムパフォーマーでもあるんですよね。マイムを始めたのはどのような経緯が。
大熊 
僕、高校演劇に入った時は吉本新喜劇がやりたかったんですよね。もう今は全然違う作風ですけど。そのうち、マイム作品を映像で観る事があって。マイムでも笑いが取れる事が分かったんです。
__ 
見えない壁とか、可笑しみがありますよね。
大熊 
でも、それ以外にももっと可能性のある表現技術なんだと思ったんです。アニメーションダンスとかにも繋がるし。始めるきっかけは、いいむろなおきさんの公演に行った時に、アイデア次第で何でも出来る手段なんだ、って気付いたんですよ。壁とかカバンとか以外にも、色々と。センスはいるかもしれませんが、身体能力がめちゃくちゃ高くなくても磨いていけるんです。そこから自己流で練習し始めました。マイムやダンスの動画見て、独学で。
__ 
独学で!凄いですね。
大熊 
で、いいむろさんの「マイムラボ」に参加しました。10月に始まったラボで、3月にいいむろさんと小野寺さんの「XとYのフーガ」という公演のWSオーディションを受けさせてもらって。そこで受かって、ダンスよりのマイム表現の稽古が始まりました。KAVCで、朝から晩まで小野寺さんのマイムをやって。
__ 
朝から晩まで。
大熊 
そこでもう、ゴクゴクと水を吸うように勉強させてもらいました。技術はもちろん、作品に対する考え方、もう色々です。お二人はもう、心の師匠ですね。

我流からハイブリッドへ

大熊 
最近までは、振付って面白い動きをすればいいやと思ってたんですけど。
__ 
ええ。
大熊 
関節の仕組みを使った動きだとか、ここを押したら肘が落ちるとか。それをアレンジして見た目面白くなるようにしていたんですけど、いつまでもそれだけではアカンなという思いが強いですね。例えば表現だったり。バレエやジャズダンスの基本も学びたいですね。いつまでも我流というのは。
__ 
我流には我流の良さがありますけどね。
大熊 
そう、そうなんですよ。他にないから面白いと言ってくれる方もいるんですよね。それも出来たらいいし、由緒あるメソッドも身に付けられればと思います。
__ 
そういう時間が持てるといいですね。
大熊 
あと、台本ですね。台本書きに縛られてるから、時間が。

質問 有北 雅彦さんから 大熊 隆太郎さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました方から質問を頂いてきております。かのうとおっさんの有北雅彦さんからです。「今まで一番、やらかした失敗を教えて下さい」
大熊 
あ、有北さん!今まで一番・・・。ぱっと思い付いたのは言えないですね、年老いるまでは。岡本拓郎さんのプロデュース公演に出させてもらった時、仕込みの日の入り時間に起きた事ですね、もう大先輩の公演に初めての客演で、しかも主役を頂いて、周りも大先輩の方々ばっかりで。迷惑を掛けてしまいました。そういう遅刻を、現場で一回やるかやらないかの確率でしそうなんですよ。
__ 
キツいですね。
大熊 
去年の2月の公演、台本がめっちゃ遅くなって。本番の日の朝5時くらいから通した事があります。泊まれる楽屋だったんですが、前日の24時ぐらいから4時まで返し稽古して1時間みんなを寝かせて5時にまたリハとゲネをやって本番して、という。早朝の5時の楽屋でみんなを起こして「今から通し稽古をやりますよ」「え、今から通しをやるの??」という空気が流れました。朝7時に駄目出しして、振り返ったらみんな寝てるんですよ。さすがに寝ることにしました。みんな、泥のように眠ってました。あれはかなりやらかしましたね。ちょっと反省すべきですね。

壱劇屋と集団創作

__ 
そういうしんどさも、壱劇屋の魅力かもしれませんね。
大熊 
もうみんな、そういう事がないように誓ってます。
__ 
なるほど、だからみんな先回りしてネタを作るし、台本も全員で作っていると。
大熊 
劇団員って普通、脚本が遅くても気を使って言わないじゃないですか。あれ以降、もうみんなそういう事ないですね。「遅いけど大丈夫?」って言ってくれます。
__ 
集団創作がだんだんとまとまっていっているという感じだと思うんですよ、それはいい方向なんじゃないでしょうか。
大熊 
あ、僕もいいと思います。元々、全員で作りたいなと思ってたんですよ、高校の頃から。一時期は劇団員が少なかったんですが、最近はまた増えたので委ねようと。みんなが、委ねられ慣れるともっといいんじゃないかなと。今回のロープアクションもそういう風に作っていますので。

悩みどころの日々

__ 
俳優としての目標を教えて下さい。
大熊 
27歳俳優としては悩みですね。売れたくもあり、売れたくなくもあり。力を抜いた演技もしてみたいですね。藤原大介さんみたいな。それから、単純にでっかい劇場で一回やってみたいです。小劇場の演技が通用しないものがあるんだろうなあと。
__ 
私は多く見てる訳じゃないんですけど、大劇場の演技って、はっきりと伝えてそれが面白い、そういう芸術だという感触はあります。
大熊 
そうなんですよ、それで面白いんですよ。
__ 
生きている論理が明確にあるんじゃないかと。

もっと愛してもらえるように

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
大熊 
京都にも公演で行きますし、2014年度までにやる公演が、6月のも含めると6回決まってるんですよ。
__ 
それは凄いですね。
大熊 
ちょっと大丈夫かなと。自主公演もあるし、そんなにやって大丈夫なのかなと。今年度は攻めすぎですね。
__ 
今後、作って行きたい作品としては。
大熊 
エンターテイメントとアートの、中間の娯楽を作って行きたいです。中間というと安いですけど。どんな人でも楽しく面白く見られる大衆性を持ち、アートを意識するお客さんにも訴えられる。あと、劇団をもっと愛してもらえるような運営が出来ればと思います。

「世界のタワー」

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
大熊 
ありがとうございます。見ていいですか?
__ 
どうぞ。
大熊 
ここまで来てもらって、プレゼントまで貰えて感謝感激です(開ける)あっ・・・うわ、めっちゃ嬉しい。この本、何回も立ち読みしてるんですよ。TSUTAYAで。僕、建築好きなんです。変な建物とかが好きで想像力を刺激されて、作品作りの元になるんですよ。

(インタビュー終了)